2010年3月 2日 (火曜日)

[本]自由の牢獄


ふたたびミヒャエル・エンデの短編集。これもまた面白かった。3番目くらいの話(手紙の形式をとっているもの)を読んだときは、村上春樹の海辺のカフカを思い出した。悪と、悪の居場所についての不思議なお話(とまで言うと語弊があるかなぁ)。この短編集のテーマは郷愁。故郷とは生まれた場所でも育った場所でもない。現実の世界に故郷をもたない人間もいる。故郷とは自分の根源であり、自分の存在の仕方や居場所、自分の周りの空間を解釈する仕方に大きく影響する。

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2010年1月 8日 (金曜日)

[本]鏡の中の鏡-迷宮

鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)Book鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

著者:ミヒャエル エンデ
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これはすごい!

おぉ...
と,うめきが漏れる感じ.

著書は児童文学「はてしない物語」や「モモ」で知られるミヒャエル・エンデ.これは児童文学ではないけど,うまく言えないけど,あぁ,同じ人が書いたな,って感じ.

「好きな本は?」と聞かれたら真っ先にこの本を挙げよう.これは何度も読み込める気がする.

* * *
「鏡の中の鏡ー迷宮」の構造美について

30の短編を集めたもの.ひとつ前の物語の歪んだ鏡像として次の物語が始まる.そして最後の短編は最初の短編に繋がっている.

ミヒャエル・エンデの文章と,著者の父でありシュルレアリズムの画家であるエドガー・エンデの画で描き出されるこの物語の世界観に混乱し当惑しながら読み進めていくにつれ,だんだんとこの本全体のテーマがわかってくる.この本が短編集という形をとっていること自体にも意味があることに気づく.

30編目まで読み終わり,(あとがきの解説も読んで(笑),)テーマを理解したと感じると,もう一度最初に戻って確かめたくなる.

最初の1編目を読み直し,それがただ奇を衒った不思議な話などではなく,ミヒャエル・エンデの深い考察を経たものであることを確認する.

これは短編集ではなく,ひとつの長篇である.
同時に,これは独立した情景を横に並べた短編集である.

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2009年12月13日 (日曜日)

人間失格裁判

太宰治による小説「人間失格」の主人公は,本当に人間失格なのか否かを裁く人間失格裁判.
被告席に小説の主人公が立ち,「恥の多い生涯を送って来ました」と供述する.
さらに堀木やツネ子など小説の登場人物が証人として登場する.
裁判官,検察,弁護士に加えて,裁判員として作家や心理学者,タレントなどが討論.
NHKBS URL: http://talent-schedule.jp/pages/search/programDetail.htm?id=8574537

という番組をやるよとテレビのCMで見て,
これは面白いんじゃないかと思い,
まず人間失格を買ってきて読んでみました.
読んだことなかったからね.
瞬く間に読んでしまい,無事に放映に間に合いました.
よかったよかったっていう日記です.
あぁ面白かった.

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2008年11月 2日 (日曜日)

自分にとって大切なものを

20081102183810
ふと、オーストラリアの詩集を手に取りました。
高校生の頃3週間オーストラリアにホームステイした折、”お母さん”からプレゼントされたものです。
Banjo Patersonというオーストラリアの詩人の詩集で、彼女がとても大切にしている一冊なのだそうです。

「あなたが成長してもっと英語が読めるようになった時に彼の世界を楽しんでね」と言われて渡されたのです。‥あ。そうか。読むか。そろそろ楽しむか。
裏表紙に書かれた彼女からのメッセージと家族全員の名前、美しいオーストラリアの自然を描いた挿絵を眺めるだけでも、私には色々なことが思われます。

個人的にとても大切にしているものを贈り物にしてくれたことに、彼女の深い愛情を感じます。しかもそれが詩集だなんて、素敵です。

* * *

ホームステイ先の町の人々は皆、自分の国の自然を大変誇りにしていました。
ただ道を歩いているだけで目に入る、何と言うことのない風景にも美しいものは溢れかえっていて、異邦人の私以上に、毎日その風景を見ている彼らの方が一つ一つ細かく感動していました。(‥というか、これも綺麗だろうあれも綺麗だろう、ほ~らやっぱしオーストラリアっていいでしょうがと自慢され続けた、といった感じでしたが。)

オーストラリアに行って初めて、荒れ果てたブッシュが涙が出る程美しいものだと知りました。日本に帰ってきて、道ばたの雑草の繊細さに心を打たれました。オーストラリアは私の感受性の幅を広げました。

もしも今私がホームステイを受け入れるとしたら、どんなものを見せ、どんなものを贈るのだろう。考え出したら、自覚していた以上に所沢の風景が自分の中にあることに気づいて、驚きました。

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2008年10月 3日 (金曜日)

チーム・バチスタの栄光

本を読みました。

チーム・バチスタの栄光
海堂尊著

医学ミステリー。サッカーとかの小説じゃないです。そんなこと思うの私くらいですか。

めっさ軽い文体でびっくりした。軽い文体は必要な要素なのです。
内容は面白いし、描写もとても上手なので、ぐんぐん引き込まれて一瞬で読み終わりました。面白かったので二回読みました。アホだから上・上、下・下って二回読んだ。通しで二回読めば良かった。三回目は通しで読もう。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
バチスタって何?ってことは本文中にちゃんと説明してあります。

////本文引用////
学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には、正式名称より創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りが良い。拡張型心筋症に対する手術術式である。

肥大した心臓を切り取り小さく作り直すという、単純な発想による大胆な手術。余分な物なら取っちまえというラテンのノリ。こんな手術を思い付くだけですでに常軌を逸している。その上実行迄してしまうサンバの国、ブラジル。

手技は難しく、リスクは高い。成功率平均六割。バチスタ手術に手を出さない医療施設も多い。門外漢の俺にもこの程度の基礎知識は在る。一般的では無いが、有名な手術で在る。
////本文引用終わり////

バチスタ博士すっごいなー(色んな意味で)!とか言い出すと脇道にそれる訳ですが、

バチスタ手術連戦連勝を誇る、東城大学病院のチーム・バチスタの栄光。しかし原因不明の術中死が三回起きた。

「術死には3つの可能性がある。たまたま連続した不運。医療事故。悪意によって事態が引き起こされた可能性。・・・」
だそうです。院長先生が言いました。まあそういう話です。
上巻を二回読んでから下巻に臨んだあーさは、チーム・バチスタ聞き取り調査の台詞をばっちり覚えててよかった☆と思いました。

作者はお医者さんらしいです。色々なことを伝えたかったのだろうなと思った。受け止めました。
小説には一文字も無駄なものがあってはならない、というのがあーさの主張なのですが(ミステリーに関しては特に)、主題、設定、描写、などなどあーさは満足です。

べた褒めだな。読み終わったばっかだからな。2割引きくらいにしといてください。

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2008年5月17日 (土曜日)

悲しみよ、こんにちは

「悲しみよ、こんにちは」
フランソワーズ・サガン著

彼女が18歳の時に書いたものらしい。

とても私の気にいった。
若い女の子の軽薄さ、残酷さ、繊細さ、傷つきやすさなどなどが
潔く表現されていたと思った。

美しい大人の女性アンヌに憧れたり嫉妬したり反感を持ったりして、意地悪な計画の末、意地悪な仕打ちをする話。

やっぱり女性の心理は女性が描かないとだめだ。絶対そうだ。
女流作家には、時々ビビビと共感できるから嬉しい。
結末もいい。

軽薄さの類がフランス人ぽい気がした。
あーさはこの子より大人だな。

****

「悲しみよ、こんにちは」はジーンゼバーグ主演で映画化されてます。見た事ないけど。
ベリーショートでちょーーーーーーー可愛いので大好きな女優さんです。
彼女のベリーショートをセシルカットという。Jean_seberg_3

じつは主人公の名前がセシルでした。
だからセシルカットなのね…と初めて気づきました。

ちなみに学部時代のあーさはジーンセバーグに憧れてベリーショートにしてたんだけど、猫っ毛じゃないからこんなに可愛くなんない。しょんぼり。高校時代ウィノナライダーに憧れてベリーショートにしてたのとあんま変わらん。

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2008年2月16日 (土曜日)

桂離宮 隠された三つの謎

桂離宮隠された三つの謎

読み終わった!
桂離宮には三つの謎が隠れていた。
あぁ面白かった。

桂離宮を作った、八条宮智仁親王という人は

①秀吉の養子になって、秀吉に大歓迎され、天下人の世継ぎとして育てられる
②秀吉に子供が出来て、邪魔になって追い出される
③その子供が死んでしまったので、秀吉は新たに養子を迎える
④しかしまた秀吉に子供ができたため、邪魔になった新養子は理由を付けられて切腹
⑤そんなある日、次の天皇にならない?という話が舞い込む
⑥盛り上がったところで「秀吉の養子だった過去のあるやつが天皇ってどうなの」と反対の声があがり、話はなかったことに
⑦智仁親王、日本庭園造りに全てを注ぐようになる

だそうです。翻弄されたね。
まぁ、これは最初~の方に書いてあります。

易しい言葉遣いだけど、桂離宮に関する研究結果が読めて楽しい。
桂離宮の美しさを褒め称える本ではなく、
桂離宮はなぜ美しいのか?を研究した本。

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2007年11月 8日 (木曜日)

犯人に告ぐ

本を読みました。
Img_23707_56085_0_2  
画像は映画のだけど、、。

「今夜は震えて眠れ」

っていう、トヨエツがCMで言う台詞がかっこよすぎて、
出てくるの楽しみにしながら読んでた。
犯人に告げてた。かっこよかった。

WOWWOWのドラマはいつも面白い。
今回は初の映画ということですね。

本を読む前に私が知っていたこと:
①劇場型犯罪に対抗する、劇場型捜査。
②「震えて眠れ」。

本を読んだ後に心に残ったこと:
①刑事も含めて、当事者にとって事件って、なんて重いんだ。
②「震えて眠れ」。

あとがきを読んでびっくりしたこと:
この著者は、「クローズド・ノート」の著者らしい。

次どうしようかな:
こないだ一度テレビで見て、
「探偵ガリレオ」を衝動買いしてしまった。
「容疑者Xの献身」を楽しむためにはシリーズを全部読むべきだろう、という発想。

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2007年7月14日 (土曜日)

奇術師

映画「プレステージ」の原作です。

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作 クリストファー・プリースト
イギリス 1994年

20世紀初頭の、二人のイリュージョニストの戦いです。天才vs奇才。
イリュージョンに対して認識が変わりました。興味深かった。

読み終わった結果、
タイトルの和訳が「奇術師」であることに大変不満を抱くことになりました。これは「プレステージ」とするべきです。

プレステージというのは本文中ではイリュージョンの専門用語として出てきます。
でも栄光とかそんな意味もいろいろあるみたい。そういうの全部かけてある気がするので、うん、やっぱり「プレステージ」ってタイトルのがよいと思う。

いや、
そんなことどうでもいいんだ!
あーもー
あーさは読んでびっくりだよ。
「えぇっ!?
あぁー
そういう話!!??」
ってなもんですよっ!!!

あとがきを読んでわかりました。
これは、この作者がどういう作品を今まで書いてきたかを知らなかったあーさが悪い。うん。

あ、でも文章や構成、上手かも。
「うわーーー確かにーーー
こんなはっきりと示してあるのになんで気づかなかったんだ自分ー」
って思わされることがあったから。そんな正々堂々とした小説は大好きです。
だから、この作者さんは腕のある人なんだとあーさは思う。

あそうそう、
この画像↓を元々知っていたので、小説楽しめました。
面白かったけど載せたらネタバレになってしまう。
(そんな致命的なネタバレじゃないけど。)
ということで、
ネタバレしたってかまやしないさ、という方や、2章を読み終わった方はクリックしてみるといいかもしんまい。

この画像(←ページ一番下のリンクも見てみるとのんびり読書してる人が誰なのかもわかります。)


あー映画ねぇ~。絶対見たい!って思ってたんだけどねぇ~。どうしよっかな。

20070527_1
プレステージ(映画)
映画の「130分間すべてを疑え!」というキャッチコピーにかなり心奪われてます。
ヒュージャックマンとクリスチャンベールは好きです。

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2007年3月24日 (土曜日)

蒲生邸事件

Photo_2

「きっと銀座で映画を見ませうね」

「兵ニ告グ 今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ」

この二つは、思い出すだけで涙がじわってする。

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「蒲生邸事件」宮部みゆき 文藝春秋 (2000/10)

大学受験生の孝史さんが、昭和十一年二月二十六日にタイムスリップしてしまう話。日本SF大賞受賞だそうです。

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次は?次は?ってわくわく読める☆

「兵ニ告グ」は、恥ずかしながら知らなかった。でも知った。有名らしい。有名になるのも分かる気がする。

「蒲生邸事件」は、二・二六事件の時の話だし、密室で人も死んじゃうけど、テーマは「歴史」そのもの。

宮部みゆきは無駄がない。タイムトラベルは、この本の主題に直結する要素だったのだ、と最後に思った。

これから待ち合わせは雷門にしよう。

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ちゃんと感想を書いてみた。

文章って難しい。言葉にすると言葉にした分だけになっちゃうからなぁ。

ということで、まぁさ、要はさ、面白かったです。理由、模倣犯グループとも、レベル7グループとも違う雰囲気。

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